High AngleII級
頭蓋角が大きく、それゆえ上顎骨は前方に回転するよ
うに成長するため咬合高径はあまり増加せず、顔面の
垂直高径も増加しない。臼歯部咬合平面は、急峻となり歯列全体は近心傾斜する、咬合高径は減少し下顎は後方に開大する。この環境下では、下顎は前方回転によ
る前方への適応は不可能となり、むしろ後方回転による後方への適応によって対応する。このような適応では咬合時の下顎頭への圧迫が強くなり下顎頭の成長が阻害されさらに下顎が後退したII級の不正咬合となる。
この治療は、最も困難な骨格タイプである。この不正咬
合は上顎臼歯部の咬合平面が急傾斜であり、下顎は常に後方位で咬合するため顎機能障害に陥りやすい。そ
れゆえ形態的特徴である極端な下顎遠心咬合を、顎顔面骨格全体の不調和のメカニズムとして理解し、特に上顎臼
歯部咬合平面に対し積極的にアプローチすることに
よりそのメカニズムを正常化させ下顎の機能的な運動
の回復を目的とする。
Low AngleII級
臼歯部咬合平面は急傾斜を示し咬合高径は不足となる。したがって、下顎枝の成長と咬合高径の増加との関係
に不調和をきたし、咬合の機能的適応の結果、強いスピー彎曲が形成され下顎は後方位で過剰に前方回転をし、過蓋咬合のII級不正咬合が形成される。
治療は、不正咬合の成立過程を考慮し積極的に咬合高径を増加させながら臼歯部咬合平面を水平化すること
によって下顎を前方に適応させ、顎関節部での適応を促す。そのためには、生理的な下顎位の決定、および咬合高径の挙上により咬合支持の確立を行い、顎関節のcompressionの解消を行う。適切な臼歯離開の確立の
ために臼歯部咬合平面を水平化させ、適切な相対前方誘導路角と歯冠内開口角の確立を行う。